おじいちゃんの家で夏休み
秋田のおじいちゃんの家は瓦屋根つきの立派な門構え。
玄関の広い土間はひんやりしていた。
着物に割烹着姿の祖母はいつも台所にいて
従弟たちが家の中を走り回っていた。
遠くから来る私や妹のために
祖父はいつもサイダーと西瓜と桃を
たっぷり用意してくれていた。
従弟達と西瓜の面白い食べ方を競ったり
サイダーに浮かぶストローで遊んだりが面白かった。
早朝の庭で、祖父に摘み方を教えてもらいながら
大きく実ったトマトを摘み取った。
みんなで河原へ鍋っこ遠足に行ったし、
必ず泊まりがけで男鹿半島まで海水浴に行った。
祖父も祖母も私が就職する頃に逝ってしまい
楽しかった夏休みのお礼も言えなかった。
天国でもう一度会えれば良いのに。
遠い夏の日のこと
夏の陽射しの中で思い出す
遠い夏に失った友のこと
心が幼かったから
心が盲目だったから
失って沢山の時を経て
無益な悔いを空に透かす
あなたは魅力的だった
あなたは私の友だった
擦れ違っても
もう分からないね
言霊をさがして
その時には優しさを感じさせない優しい言葉があるんだって。
その時には酷さを感じさせない酷い言葉も。
そうだね。確かにあるね。
たくさん人を傷つけて生きてきたよ。
だから今心から思う。
あからさまな優しさじゃなく、
気づかれないような優しい心を届けられたらと。
そんな言葉を紡げるようになりたいと。
マーメイドメモリー
いつかの夏の日
あるはずのない記憶
エメラルドの海を歩いた
懐かしい人と
いつかの夏の日
夢の向こう海の底
輝く笑顔が悲しくて
私は無力な人魚だった
心は空へ羽ばたいて
いつか少女だった頃
雨上がりの青い空を見上げてた
青い青いあの空の
白い白い輝く雲は
遠い遠い私の未来
空と雲に溶け込んで
どこまでも飛んでゆける
私の心はこんなにも空の上
なのに私の身体は地面の上
それがとても不思議だった
夜に帰る
夜は不思議な時間。
太陽の光がないだけなのに昼とは違う空間になる。
そんな夜だけ私は私になれる。
もうすぐ夜明け。サヨナラだね。
(2019/02/20)